信州読書会 書評と備忘録

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カテゴリー:石原裕次郎

2013年06月10日

赤いハンカチ

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★あらすじ
オリンピックの射撃選手でエリート警官の石原裕次郎と
たたき上げの警官、二谷英明は、
ユウジとタカよろしく横浜で麻薬密売ルートを追っかけ、
港で密売現場を抑えるが、取り逃がす。
そこで目撃者としておでん屋台の親爺を逮捕し、
麻薬の密売人の正体を吐かせるよう執拗に取り調べるが、
親爺は決して口を割らない。


その親爺の一人娘である浅丘ルリ子の自宅を訪ねた裕次郎は、
父が酔って警察の厄介になっていると誤解し健気にふるまう
頭ボサボサ、すっぴん姿のルリ子に好感を持ち、
図らずも、味噌汁をごちそうになり、そのお返しに
裕次郎は、ルリ子を勤め先の鉄鋼工場まで送り、みんなに冷やかされる。



しかし、おでん屋の親爺が護送の際に、二谷英明から拳銃を奪って
発砲したために、裕次郎は拳銃で親爺を射殺してしまう。
ルリ子に恨まれた裕次郎は、警察を辞職。
懺悔のために土方となってダムの建設現場で働き4年を死んだように過ごす。


人生からドロップアウトした裕次郎の前に
刑事の金子信雄が現れ、二谷英明が警官を辞職して
青年実業家になり、ルリ子と結婚して結構な身分に
なっていることを伝える。金子信雄は、二谷英明が
麻薬密売ルートの犬だった可能性をほのめかし、
現在の商売の資金源は、その報酬だったのではないかと語る。



再び横浜へと戻った裕次郎は、二谷英明の歓迎を受け、
自分の会社で働かないかと誘われる。
そして、ゴージャスになったルリ子に再会し、
怒りとも嫉妬ともつかない複雑な感情に襲われ煩悶する。


そこで、裕次郎は昔シャブ中だったのを救ってやった
寿司職人、桂小金治に事件の真相を調べるように頼むが、
独自の捜査を開始した小金治は何者かに殺され仏さんとなってみつかる。


それと同時に、裕次郎も命を狙われる。
ルリ子の夫である二谷英明が怪しいことに気付き始める。


二谷英明があやしいと睨んだ裕次郎は、彼の邸宅に忍び込み、
裕次郎を殺そうと電話で画策する二谷英明を見つけたこ殴りにする。


そんな凶行の果てに指名手配となった裕次郎は、ついに捕まり
かつてルリ子の親爺を射殺した警察署前で、二谷英明と再会する。
なんでそんなことになったかというと、金子信雄が、
二谷英明の自白をテープに録音するための周到な罠だった。


自分が空砲を詰めた拳銃で親爺にわざと発砲させたことを白状し、
しかし証拠がないのだからつかまりようがないのだとのたまう二谷英明。
激高した裕次郎は隠し持った拳銃で、二谷を殺そうとするが、
その前に、背後から突然姿を現したルリ子が発砲。
愛妻に撃たれた二谷は悶絶するが、ルリ子から拳銃を奪い、
とどめの一撃を愛と憎しみの果てに、自らの心臓にはなって自殺する。


すべてはエリート裕次郎を羨む二谷のやるせない思いからだった。

金子信雄は、証拠テープを燃やす。


★感想
1964年公開。舛田利雄監督。脚本、小川英、山崎厳、舛田利雄。


なんでこの映画を観たかというと、カラオケスナックで
会社の次長が「赤いハンカチ」を歌っていて、異様にうまくかったから。
そして、本人映像としてこの映画がモニターに流れていたから。


完全になめてかかってみたが、すごく面白かった。
キャロル・リードの『第三の男』を下敷きにしているらしい。
カメラワークも斬新で、その斬新さが逆に今となっては
小賢しくて、チープであるのが残念である。


最近、私は石原裕次郎のベストアルバムをよく聴いていて、
裕次郎の歌の魅力というものにどうしようもなく惹きつけられている。


少し前までは、それが小林旭であったが、嗜好は時とともに変わる。
裕次郎には、小林旭にはない都会的なセンスがある。
なんというか、大人なのである。
優しくて親切でスマートで、そういう行為に何の見返りも求めていない感じ。


まあ、そういう部分は小林旭にもあるのだが、
もう少し土臭くて優しさがひねびているがマイトガイだろう。


なんというか裕次郎のほうが生粋のエリートというか
ハイソサエティーな感じがあって、階級意識にまみれている。


どう考えてもマイトガイのほうが裕次郎よりイケメンかもしれん。
ナニワ金融道の青木雄二が著作で、小林旭のほうがどう考えてもかっこいいのに、
裕次郎のほうが人気があることに本気で腹を立てていたのを読んだことがあるが、
やはり裕次郎の魅力には、日本人の中流層にコンプレックスを抱かせる何かがある。


マイトガイの敵役が、いつも南米系のいやらしい顔の宍戸錠であるのにたいして、
裕次郎の敵役は、ヨーロッパ系の渋い顔した二谷英明である。


マイトガイの前ではいつもお嬢様役の浅丘ルリ子も
石原裕次郎の前では、なぜか賃労働の女性工員になってしまう。


よって、裕次郎ならルリ子とキスシーンがあっても
デュエット曲を歌っていても、世界観は壊れないが、
マイトガイがルリ子に同じことするとマイトガイの世界観が壊れる。


なんといっても、マイトガイは賭博シーンが似合う。
裕次郎は賭博シーンが似合わない。
似合うといったらヨットでクルージング。



要するにその違いである。



そんなことを思いながら観てしまった。


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ラベル:石原裕次郎
posted by 信州読書会 宮澤 at 13:32| Comment(0) | 石原裕次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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