★ あらすじ
カメラマンのマイトガイがキャビンアテンダント松原智恵子と出会う。
松原智恵子の亡き父親は旧陸軍幕僚で、沖縄の民間人から巻き上げた金塊を
どこかに隠したままである疑惑があった。
金塊の在り処を探す暴力団が、松原智恵子を誘拐する。
沖縄出身のブラックタイツ団とマイトガイが三つ巴の戦いを繰り広げながら
松原智恵子の行方を捜す。はたして金塊の在り処は?
★ 感想
エログロナンセンスが渾然一体となった60代日活作品。
長谷部安春がはじめてメガホンを取った作品ということである。
DVDでは、特典として長谷部監督のインタビューがあるらしいが、
私はビデオで見たので、観られなかったのが残念でたまらない。
当時のヒット作『007』のパロディーをやっているらしい。
ブルース・リーのカンフー映画のパロディーである千葉真一主演の
『直撃地獄拳 大逆転』をはじめて観たときの印象に近い。
どういうことかというと、当時パロディーされた元ネタを知らないだけに
この作品の『007』のチープなパロディーに過ぎない部分が、
今改めて観てみると、アバンギャルド!!
と錯覚させるような歴史的倒錯をかかえているということである。
それよりも、今でも松原智恵子が大好きな私としては、
彼女が『昼顔』のカトリーヌ・ドヌーブばりに、縛られて下着姿にされて
顔じゅうに白いペンキをスプレーされているシーンはショックだった。
ひどいことするなあと思いつつも、見入ってしまった。
しかし、あんなきれいな女優に、そういうことをしちゃいけない、と思う。
葛藤を抱きつつも、私の中のハードボイルドな部分がそう命じた。
マイトガイのコミカルな演技のぎこちなさがキムタクそっくりである。
テレビCMにでてコミカルなことをしているキムタクみたいだった。
いや、もっと正確に言えばシュールでコミカルな状況に巻き込まれて、
ハニカミながらとまどうキムタクみたいだった。なんか、下品。媚びてる。
あんなにクールなマイトガイが、下品なハミカミを演じていて、ガッカリ。
マイトガイやキムタクを、おもちゃにして、喜ぶ演出家の安易な想像力は
客をなめきっているとしか思えない。こういうのを勘違いという。不愉快。
ゆえに、この初監督作品の後、長谷部安春は1年以上仕事を干されたらしい。
いまだったら考えられないが、当時はまだ良識があったんだと思う。
でも、オープニングの爆撃シーンの花火はとてもよかった。
ジャケットのマイトガイが長井秀和みたいである。
俺にさわると危ないぜ [DVD]
sponsored link