ナンシー関の最後の対談集。クレアに連載されたもの。
お相手は「東京タワー」が現在200万部のベストセラーとなっている
リリー・フランキーだ。
1学年の歳の差ということもあって、
感覚が似ているという点で、
お互いの持ち味がよく出た対談集だ。
TVコラムのイメージが強いナンシー関だが、
本書では芸能関係の話題を柱におきながらも
ナンシー関の日常生活や思考の回路、人間洞察のポイントといった、
既出本では窺い知ることのできないナンシーに出会える。
それは、対談相手がリリーであることが大きい。
両者の身近でささいな出来事に細かくツッこんでいく
視点の持ち方に共通点があるため、
コラムニストの種本というか楽屋本ともいえる
内容に傾いていく、そこが本書の読みどころだろう。
自動車免許取得の体験談や初めてテープレコーダーを買ったときの使い方など、
小さな話題を、お互いツボを刺激しあい、
なるほどと思わせる世間知をさりげなく、
かつ惜しみなく応酬しながら、
会話をころがしてゆくというライブテイストが楽しめる。
下ネタ嫌いのナンシー話がうまくかわすところも見ものだ。
たとえば字の話で
リリー 真面目な原稿を書いている時は、やっぱり達筆に書いているし、
ポコチンの話なんか書いている時は、なんかちょっとポコチン寄りの
字になっていますね(笑)。
ナンシー 適材適所(笑)。
というように。
まるで、仲のよい姉と弟がこたつで会話しているような
面白さとやさしさ、あたたかさに満ちていて
いつまでも読んでいたいのだが…。
ナンシー関の最後の本になってしまった。
リリー・フランキーのあとがきが涙を誘う。
個人的にはナンシー本では本書と
「信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク 」 角川文庫
がフェイバリット。
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