オコナーの「川」について。
ベビーシッター、コニンさんが
あるご家庭のお坊ちゃんハリーに
洗礼を施すために川に連れて行くというお話。
聖書を引用、参考にしつつ
キリスト教の奇跡を信じる善良な人と
信仰心の失われた現代の
埋めがたい溝をグロテスクなユーモアで書いた作品。
ハリーという坊やは、コニンさんにペヴェルと
名前を偽るクレヨンしんちゃんみたいな子。
この子は聖書の一説に従って、コニンさんの家を豚にがす。
この子をいじめる、コニンさんの三人の息子が、
カフカの作品に出てくるいたずら好きな脇役に似ている。
フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)
フラナリー・オコナー全短篇〈下〉 (ちくま文庫)
以下余談で、最近気がついた話です。
2006年に村上春樹が受賞した、オコナー賞というのは
フランク・オコナーというアイルランドの作家の業績を
記念して作られた、国際短編賞です。
なので、フラナリー・オコナーとは別人です。
フランク・オコナーは、岩波文庫から短編集出ています。
実は、調べていて分かったのですが
フランク・オコナーは、リバータリアリズムの始祖である
アイン・ランドの旦那です。
アイン・ランドは、FRB元議長のアラン・グリーンスパンが
『思想的母』と仰いだ女性作家だそうです。
1998年のランダムハウス/モダンライブラリーの
「アメリカの一般読者が選んだ20世紀の小説ベスト100」には、
『肩をすくめるアトラス』が第一位、『水源』が第二位に選ばれています。
日本では、最近知名度が上がってきました。
アインランドは、アメリカで非常によく読まれているそうです。
日本では、2000年代にようやく邦訳が出ました。
副島隆彦さんや藤森かよこさんがが熱心に紹介しています。
水源―The Fountainhead
肩をすくめるアトラス
リバータリアリズムは、アメリカで熱心な支持者のいる思想です。
ネオコンとは真逆の、民衆思想です。
クリントイーストウッドの映画作品が、
リバータリアリズムの影響の元に製作されていると
副島隆彦さんが指摘しています。
私も時間があれば読んでみたいで紹介したいと思います。
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