信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

欲望という名の電車 T・ウイリアムズ 新潮文庫

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ある日、妹ステラ住む小さなアパートに、姉のブランチがやって来る。
この姉妹はアメリカ南部ベルリーヴの大農園に生まれた。
実家はすでに競売にかけられ、なくなっている。


品のいいお嬢様のまま、ブランチはステラのアパートに身を寄せる。
ステラの夫スタンリーは、欧州大戦では将校だったが、現在は工場に勤める労働者。
突然やって来たブランチの上品ぶったわがままぶりが気に喰わない。
そしてとうとう、ブランチの常軌を逸した言動の原因を暴く。
ブランチの嘘は、陰惨な過去から生まれたものであった。





南部没落貴族の運命の悲惨を描いた作品。
これは、フォークナーの作品世界の主題にもつながる。




ブランチが過去にうけた心の傷から逃げだすために
貴婦人を装う精一杯の演技や
出身階級の誇りと潔白を守るための様々な作り話を続ける。
これが、ブランチに思いを寄せるミッチを魅了し
そして彼をズタズタに傷つけ、辱める。



妹のステラにさえ疎まれたと感づいた彼女が
自分から街を出て行くことを告げるシーンは
涙なしにはよめない。



過去に恋愛で取り返しのつかない心の傷を受けた人は
ブランチに同情と共感の涙を流しながら読める作品。


そうでない人は、スタンリーの荒々しい男気を愉しんで読んで下さい。

amazonで買うならこちら『欲望という名の電車 (新潮文庫)』




エリア・カザン監督の映画もすばらしい。





マーロン・ブランドもビビアン・リーもハマリ役。
映画版はヘイズコードのせいで原作のエグみがなくなっているので、
まず原作を読んでみて下さい。



エリア・カザン自伝に、ブランド、ウィリアムズの
興味深い逸話が垣間見える


エリア・カザン自伝〈上〉


エリア・カザン自伝〈下〉






上記の本は『欲望という名の電車』を
政治思想映画として解読している
ソエジーこと副島隆彦先生の映画評論です。


この映画を評論しながら
アメリカ下層白人社会の分析を
行っています。


私はこの本から
アメリカ南部の歴史的な政治思想とは
まったく別個のアメリカ下層白人社会の
内部的な対立があることを
教わりました。



こちらは、フォークナーやスタインベックなどの
描いているアメリカ南部の闇とは別の問題です。

蓮實重彦の映画評論よりよっぽどためになります。


オススメです。

アメリカの秘密―ハリウッド政治映画を読む (オルタブックス)



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posted by 信州読書会 宮澤 at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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