信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

南回帰線 ヘンリー・ミラー 講談社文芸文庫

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郵便局に勤める主人公が…とはじめようと思ったが、
あらすじはまとめることが無理なのでやめようとおもう。



どこから読んでもいいと思うし、もしかすると読まなくてもいいと思う。
セリーヌはどんな膨大な長編小説でも全部三回書き直したらしいが、
ミラーも書き直しくらいしてると思う。
何回書き直したかは知らないが、もし仮に書き直していないにしても、
読者が途中で飽きないように10分の1くらいに削ってくれたとは思う。
そういうサービス精神にあふれた作品ではなかろうか。


小説であり、日記であり、妄想であり、思想書であり、読書感想文でもある。
唯一戦争体験の話が出てこないだけであった。
ミラーは古今東西のあらゆる名作を読んでいて、
「悪霊」のイヴォルギン将軍に触れたりするところが、私の琴線を刺激する。



あとがきに人間讃歌の書とあったが、そうなのだと思う。
どんな人間に対しても同じ目線で向き合っている気はする。
日本でいえば金子光晴に近い。パリつながりで。



話は変わるが、最近題名にひかれて本谷有希子の「生きているだけで、愛」を読んだ。
この題名は、ミラーの作品にふさわしいと思う。
残念ながらこの作品は、無意識の人間讃歌ではなく
なにやら、なげやりな自己肯定に終わっているが。


煮詰まった無職の作家志望の人にお薦めの作品。


なるべく喧騒の中で読んだ方がいい。


子供が騒いでいる昼間の郊外のマクドナルドがふさわしい。
そんな環境で集中して、一日二時間くらい読めば、一週間で読了する。


読後は、うるさいガキをいとおしい眼差しで眺めることができるし、
将来への不安も一瞬まぎれる。



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posted by 信州読書会 宮澤 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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