信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

おまんが紅・接木の台・雪女 和田芳恵 講談社文芸文庫

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「接木の台」は、老年の主人公がかつて不倫関係を持った女と電車で出会うという小品。


作者の和田芳恵は徳田秋声に傾倒しており、
「接木の台」は、秋声の私小説のようなとりとめのない叙述が印象的だ。
中年の恋愛というのが古傷を舐めまわすような、
居心地の悪い痛みをしんみり噛み締める類のものあることがわかる。


私が最初に読んだ和田作品は「おまんが紅」で、これは名品だと思った。
新聞記者と田舎から出てきたばかりの春駒という名の娼婦との恋愛話だった。


男の穿いていたズボンを寝圧しするために、春駒がたたんで蒲団の下に敷くのだが、
折り目が前ではなく横についてしまって恥をかくという挿話が、
ふたりの関係が深まるきっかけになっていた。



「接木の台」も、ふたりが初めて一夜をともにした夜に
女がズボンを寝圧しするために、
主人公が脱いだズボンからベルトをはずし、
ポケットから財布を取り出した光景を
しみじみ思い出すところから
一挙に主人公の回想が始まる。
そのあたりに、私小説的な結構の緩さがあるにもかかわらず読ませてしまう切迫感を感じる。


ズボンの寝圧しというのが、女性のまごころであることが判る作品。



おまんが紅・接木の台・雪女 (講談社文芸文庫)

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ラベル:和田芳恵
posted by 信州読書会 宮澤 at 09:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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