信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

美しさと哀しみと 川端康成 中公文庫

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「十六七の少女」は作家の大木年雄の出世作となった小説であり、
少女時代の上野音子をモデルにしたものだった。
十七歳で、大木との間にできた子を流産し、自殺未遂を犯し、
精神病院へ入院する音子との顛末を描いた純愛私小説だった。
その後、大木と別れた音子は、心に傷を負ったまま日本画家となる。


大木が二十四年ぶりに京都に訪れ音子に再会する。
裏切られてなお大木を密かに愛している音子に嫉妬し、
音子の内弟子、坂見けい子は、師匠の仇討ちを模して
大木と大木の息子である太一郎を誘惑し、罠にかけるが…



官能と抒情のロマネスクということだが、
品のいい渡辺淳一の作品のようにも思える。
何作もの作品と並行して書かれた作品の割に、物語の綾はきめ細かい。
だが、最後のシーンはなかなか安易で、火事で終わる「雪国」と何ら変わらない


意外なことに、古典文学や絵画の作品論の挿入がかなり多い。
この辺の薀蓄は、渡辺淳一に通じるものがある。


それぞれの登場人物は、造形の輪郭がぼんやりとしているにもかかわらず、
鋭い狂気を発散させる瞬間が何度もあり、ひやっとさせられる。


日本画や古典文学が含むような幽玄な美をたたえた作品。
加山又造の挿画が雰囲気を出している。


お茶漬けみたいな作品。晩酌しながら、1章ずつ読むのがお薦め。

美しさと哀しみと (中公文庫)

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タグ:川端康成
posted by 信州読書会 宮澤 at 09:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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