信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

硫黄島の星条旗 ジェイムズ・ブラッドリー 文春文庫

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硫黄島の戦いでの星条旗掲揚の写真を巡ってのドキュメント。
星条旗を掲揚した6人の若者のうち生還した3人は
帰国後、祖国の英雄として迎えられる。
全米に熱狂的に迎えられた彼らの運命は一変する。
その後、米国債を売るための広告塔として政治的に利用され、
3人は全米各地をツアーに回る。



衛生兵として数多くの兵士の手当てをしながら
国旗掲揚のシーンに偶然にも入ってしまった
著者の父親、ジョン・ブラッドリーはこう述べる。


「ずっと忘れないでもらいたいことがあるんだ。
硫黄島のヒーローは、帰ってこなかった連中だ。」




7000人が死に、2万3000人が負傷した硫黄島の海兵隊の
帰還兵たちはPTSDに悩まされ、多くが帰国後に発症した。
星条旗掲揚のメンバーのひとりであるアイラも例外ではなく
アルコールに溺れ、非業の死を遂げる。


ジョン・ブラッドリーは、マスコミから身を避け、
死ぬまで、硫黄島での出来事を語りたがらなかった。
自分の生活と家族を守ることに全力を尽くした。
一生、死者を代表して、勝利を語ることを恥じていたのだ。


著者は日本に住んでいたこともあり、本書は日本人への尊敬もあふれている。
彼は、戦争以前の1千年以上続く日本文化の伝統に
心打たれて、父親に日本も戦争の被害者ではないかと尋ねた。
父親は、ただうなずいていただけだという。



勝利したアメリカ軍の若者たちが、過ごしたその後の人生。
戦争に傷ついたアメリカは、今もなお続いている。
硫黄島の星条旗 (文春文庫)



ぜひ、本ブログでも紹介した日本側の記録
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道  梯 久美子 新潮社



と読み比べてほしい一冊。

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posted by 信州読書会 宮澤 at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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