信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

讃歌 中上健次 小学館文庫


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★あらすじ
男も女も相手にするジゴロ“イーブ”の性の遍歴。
イーブはまれに見る美男子で、ウインクひとつで男も女も惹きつけてしまう。


いつ浜村龍造が出てくるのかと思ったが、出てこない。
もちろんオリュウノオバも、出てこない。



全編、激しくインモラルな性描写があふれているが、
閨房での具体的な行為の表現の細やかさは圧倒されこそすれ、
それ以外の描写に何の魅力もない。


まず、ジゴロであるイーブの身に纏っている
服装も装飾品も具体的な記述がない、
そして、<黒豚><白豚>と呼ばれている客の外観的なディテールも
描写がないので恐ろしくリアリティーに欠ける。
その点、風俗描写をあえて避けて作品の永遠化を望んだ三島の企みに近い。



イーブは類まれな筋肉と笑顔と股間の一角獣で
内面などない性のサイボーグと化しているので、己の行為に照れがない。
代わりに読者の私のほうが照れる。
そういう気持ちにさせた点では、三島の小説の主人公に似ている。



イーブの一挙手一投足が、周りの人間を魅惑する。
その辺の通りすがりの女性さえも。
そんな奴いったいどんな奴なんだ、こんな奴いるのかよ、
という疑問が始終離れなかった。



イーブは私の中では元カリスマホストで最近よくテレビや雑誌に出てる
城咲なんたらという人を髣髴とさせた。
NHKの衛星放送で、「日輪の翼」がモックン主演でドラマ化されていたが、
「讃歌」は城咲氏でVシネマ化してほしい。
ジュネ原作、ファスビンター監督の「ケレル」ぐらいのインパクトになると思う。


文学界に2年にわたって連載された。途中で放棄しなかったのがすごい。
三島とサドとジュネの影響下で中上健次が筆力を浪費した贅沢な作品。



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ラベル:中上健次
posted by 信州読書会 宮澤 at 09:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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