信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

人間ぎらい モリエール 新潮文庫

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社交界の女王である未亡人セリメーヌに恋してしまう.
純真で、偽善を許せない、主人公の青年貴族アルセスト。
セメリーヌは、何人もの男に気を持たせるのがうまく、
アルセストは彼女のことを激しく恋するあまり、
彼女の不実を憎み、彼女を糾弾する。

やがてアルセストは、セメリーヌに代表される
世の中の偽善に我慢がならなくなり、一切縁を切るべく
人里は離れた山奥に隠遁すると公言する。


アルセストは、恋する青年の典型を成している。
セメリーヌの指摘するように、アルセストは
始終他人とは反対の意見をもっていて、
誰かと同じ考えを世間が持っていると考えたら
自分が一文の価値もない人間だと思ってしまう。
まさしく「若気の至り」を丸めて固めたみたいな五月蝿くて、青臭いお坊ちゃんだ。


はた迷惑なほど、直情径行なのだが、なぜか、周りの人間に愛されている。
漱石の描く「坊っちゃん」をもう少し内向的にしたような感じである。



この喜劇のすばらしさは、なんといっても
アルセストの友人フィラントの、コメディーリリーフぶりである。
アルセストをたしなめる言葉も優しさにあふれている。
世を捨てると言い出したアルセストに

もし何事も正直ずくめで、だれも彼も率直で公明正大で柔順だったら、美徳というものは大部分無用になってしまうよ。なぜといって、こちらが正しい場合、他人の不正を気持ちよく堪え忍ぶのが美徳の美徳たるゆえんなのだ。



と諭し、最後にちゃっかりアルセストを心配している
セメリーヌの従妹のエリアントと最後に結ばれ、彼女に
「さあ、僕たちはどんなことをしても、アルセストの計画を
ぶち壊そうじゃありませんか。」と高らかに言い放つ。


こういうバランス感覚のある情の厚い友人がいなければ、
喜劇は喜劇にならないという重要な登場人物だが、
こういう人物の造形というのは案外、最も難しいのではないかと思った。それだけ。

人間ぎらい (新潮文庫)


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ラベル:モリエール
posted by 信州読書会 宮澤 at 09:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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