信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

台所太平記 谷崎潤一郎 中公文庫


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大作家、千倉磊吉の家に奉公した女中たちを回想するという形をとった小説。
サンデー毎日の連載小説。


動物図鑑のように女中達の生態を綴っている。
女中の癲癇発作事件や、女中同士の同性愛事件など
性にまつわる下世話な興味を掻き立てるエピソードが満載だが、
基本的に金満家の家庭内の事件であり
事件を見守る千倉磊吉と妻、讃子は
最後まで狂言回しに徹しているので、
お上品にまとまっている。


ディズニー映画や、ハリウッド映画の「哀愁」など
当時はやりの風俗がひととおり盛り込まれているが、
女中をひとりひとり、エピソードとともに
回顧してゆくという構造によって


日本古来の物語文学の結構を偲ばせるので
風俗が作品を古びさせる瑕疵を回避している。
(ちなみに、女中の名前を本名で呼んでは
親御さんに失礼なので、磊吉は女中に源氏名をつけている。)


教育はないが聡明で美人な、鈴という女中に、磊吉が読み書きを教え
女ぶりを上げさせてゆくくだりなどは、
源氏物語かプリティーウーマンの世界である。
それでも、磊吉は鈴を娘のようにかわいがるのだけであり
嫁入りの決まった鈴に歌を贈るところで物語は終わる。


頽廃したブルジョア生活が臆面もなく綴られている。
大谷崎の開き直りと円熟を存分に味わえる作品。

台所太平記 (中公文庫)


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タグ:谷崎潤一郎
posted by 信州読書会 宮澤 at 08:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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