信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

ペルサイ アイスキュロス ギリシア悲劇全集2所収 岩波書店

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★あらすじ
ペルシアの王、クセルクセースによるギリシア大遠征
サラミース海戦における歴史的な大敗を描いた悲劇。


ギリシアの3倍の大艦隊を率いながら、
情報作戦の罠にはめられてペルシアの大艦隊は壊滅。名うての将校はすべて討死。
陸路で敗走するペルシアの兵士も、吹雪に見舞われ全滅するが、
クセルクルースだけは、幸運にも帰国する。



★感想
ペルシアの長老からなるコロスが冒頭
出撃する数々の大将の名を武勲とともにながなが歌い上げる。
敗戦を伝える使者が、彼らの討ち死にの様を、同じ長さで報告し、
またもや、コロスが誉れ高き死者の名を哀悼ともに次々と歌い上げる。


この2回の転調したリフレインの壮大さが悲痛であり圧巻である。



クセルクセースのボンクラぶりは悲壮を越えて失笑もの。
息子を心配するあまり、思わず墓場から甦ってしまう
親父で先代のダーレイオスにも失笑を禁じえない。



この親父も、生存中、マラトーンの戦いを指揮して敗北しており、
(指揮官としてはまるでダメだが、人望が厚いのだけが取り柄)
親子ともども戦争に弱いという救われない家系である。



創業者の親父(商売は堅実だが資金繰りが下手)の遺言を無視して
本業以外に手を出して(たぶん証券取引とか)シャレにならない大損を計上。
支店を次々閉鎖し、支店の従業員をやむをえずリストラした上に
なお、会社を倒産寸前の危機に陥れる二代目バカ息子みたいな話である。
無論彼は責任をとらない。腹を切るわけでもなく古参の役員と涙に暮れるだけ。
こんな、放蕩息子をやさしく迎い入れる母アトッサは、ひとしお哀れである。


このボンクラなペルシア人親子の顛末を大まじめに悲劇に仕立て上げたところに
ギリシア人、アイスキュロスの並々ならぬ皮肉のセンスを感じとることができる。


アイスキュロス II ギリシア悲劇全集(2)


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posted by 信州読書会 宮澤 at 08:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ギリシア古典 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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