信州読書会 書評と備忘録

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2013年07月25日

冷めない紅茶 小川洋子 福武文庫


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冷めない紅茶 (福武文庫)


★あらすじ
事故死した中学の同級生の葬式でわたしとK君と10年ぶりに再会する。


後日、彼のアパートに招かれ、彼と彼の奥さんとの交流が始まる。
その奥さんは、中学校時代の図書館司書であった。
しかし、わたしは司書時代の彼女のことが、すぐには思い出せない。


ある日私は、家で返却していない中学の図書館の本をみつける。

中学卒業間際に、返却の催促を彼女から電話で受け取っていたことを思い出す。
それを母校に返却しに行って、図書館が何年か前に消失して死者が出たことを知る。
グラウンドにKと奥さんが亡霊のように歩いているのをみかける。


その後、再び、Kの家に遊びに行くが、奥さんは出かけている。
彼女が帰ってこないので、わたしは帰ることにする。


帰り道で迷い、自分が葬式帰り道、Kと会話した坂道にいることに気がつく。
喪服を着ているのではないかと確かめようとするが、暗くて見えない。


★感想
すばらしい作品だと思う。文学作品でなくて文芸作品として。
庄野潤三の『静物』の世界観に近い。自覚的な作為に安定感がある。
喪失感を感傷的に弄ばずに、あくまでも即物的な描写に留めている。
一語一語の選択に、強い意志が漲った俳句的な作品である。



冒頭に熱帯魚の死についての描写があるが、
この作品自体に、水槽の熱帯魚を眺めるような幻惑的な雰囲気が満ちている。


たぶん、筆者は、終日横になっていても退屈しない人だと思う。


以前、小川洋子さんが「通販生活」にでていた。
通販という離人的な営みがこれほど似合う人も珍しい。




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posted by 信州読書会 宮澤 at 08:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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