信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

南国土佐を後にして



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★あらすじ
ダイス賭博で下獄していたマイトガイ(小林旭)は、刑期が明け、
未亡人の母と恋人ルリ子待つ故郷の土佐へと戻り、
天才的なダイス賭博の技術を封印し、堅気として出直す決意をする。

しかし、ルリ子は死んだ父の借金100万円のせいで、
金貸しのチンピラ内田良平と結婚するはめになっていた。



内田良平は、ルリ子が、未だにマイトガイに心寄せているのに嫉妬し、
マイトガイの前科を暴いて就職活動を邪魔する。


前科者ということが知れて就職できないマイトガイは、
母親さえ養いない身のふがいなさを倦んで、職を求め再度上京する。
特攻隊で戦死した兄の婚約者である南田洋子の経営する待合に身を寄せ、
就職活動を再開する。南田洋子は昔の恋人の面影をマイトガイに見て尽す。



しかし、マイトガイは南田洋子の妹、中原早苗に好かれて、
またまた就職活動を妨害される。


そんなおり、ルリ子がマイトガイを追って上京してくる。

ルリ子を追いかけてきた内田良平に、今晩中に100万円返済しろと迫られ、
マイトガイは、仕方なく賭場に出かけ、金子信雄相手に奇跡的な勝利を上げ100万円を作る。

100万円渡したついでに、内田良平とその一味をボコボコにする。
明け方、マイトガイはルリ子との結婚をお預けにして別れ、去ってゆく。




★感想


森進一の『おふくろさん』事件で最近フィーチャーされた故川内康範原作、脚本。
『渡り鳥シリーズ』の原型となった作品である。監督は齊藤武市。1959年公開。

いや、かなりいい映画で、魅入ってしまった。



マイトガイがテーブルに並べた5個のダイスワンシェイクで
拾って、振って縦に立てるシーンがあるのだが、
これが、なんとすばらしいことに吹き替えなしのマジ演技である。




マイトガイの自伝『さすらい』(新潮社)によると、2テイク目で成功し、

あまりに驚いた西村晃と二本柳寛はセリフを忘れたという。
ふたりが素で呆気に取られているのがそのまま使われている。


そのほかにも、南田洋子のお座敷での踊りとか、(南田洋子がきれいだった)


ダイスでオール6を出した後の金子信雄のとぼけきった表情とか
中原早苗の『ジョージさんきっとお姉さんを好きになってしまう』というセリフとか


いろいろと心に残るシーンがあった。川内康範の脚本はかなりすばらしい。

だが、やはりなんといっても狂気の博徒と化したマイトガイが
ペギー葉山の歌う『南国土佐を後にして』を止めさせ

オール1を出して、去ってゆくシーンが感動的。
マイトガイのどうしようもない孤独に涙した。

堅気になり母親孝行しようとして、苦労したにもかかわらず、故郷から疎外され、
前科者として生きざるを得ないマイトガイに私は感情移入しっぱなしである。


ラストで、マイトガイがルリ子に「まだ行かなきゃいけないところがある」といって
別れを告げるのだ、のんきな私はただ単に、どこかに旅にでるのかと思っていた。


実際は、主人公は警察に向かって去っていったということである。
『さすらい』でマイトガイ自身が、そう述べていた。

そうなのか!! と私はビックリするとともに、自分の不見識に恥じた。

あれは自首したんだ。とおもうとラストは鮮烈である。
そんな救いのない結末だからこそ、マイトガイのラストの笑顔が眩しい。

あと、案外、自分が情にもろいことを再確認した。

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タグ:小林旭
posted by 信州読書会 宮澤 at 14:40| Comment(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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