信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

縄張はもらった

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縄張はもらった [VHS]

★ あらすじ
8年の刑期を勤め上げて出所した寒河江(マイトガイ)は、
所属する一文字組が看板を下げ、老いた親分が、新興暴力団狭間組の
世話になりながら入院生活しているのを知る。



狭間組の組長は、出所してきたマイトガイに目をつけ、
工業地帯の予定地であるX市の制圧するよう頼む。
制圧したあかつきには、その縄張をマイトガイに譲り、
一文字組の看板をあげさせてやるというのだ。



どう考えても、いいように利用されているとしか思えないマイトガイだが、
単純なのかお人よしなのか、やがて裏切られることを察知せず、
親分の入院費のお礼にと、無理難題を引き受けてしまう。


しかし、X市はすでに、遠野一家と青葉会という二大勢力が拮抗していた。
そこへ、第三の勢力として参入するべく、マイトガイのもとに、
新城(チョビ髭のない藤竜也)、マイトガイに熱烈に忠誠を尽くすお馴染みの郷エイ治
ギターの流しの川地民夫と、渡り鳥シリーズからスライド登板の宍戸錠ほか
特殊技能を持った面々が集められ、その目付け役を狭間組の二谷英明が担当。


こうして『七人の侍』チックに、集団活劇というか、グループヒーローものとして物語は進むが、
マイトガイのカリスマ性が十全に輝きすぎて、結局はみんなが献身的に犠牲にならざるを得ない。
よってみんな、ひどい目にあって死んでいく、特に藤竜也は潜入スパイとして壮絶な拷問をうけ死す。


ついに遠野一家と青葉会を相打ちにさせる計画を成功させ、マイトガイは漁夫の利を得るように
工業地帯予定地を農家の人々から巻き上げ、転売して儲けてX市を完全制覇する。



しかし、マイトガイがフロント企業として建設会社(旭日総業ではない)を設立したことが、
狭間組会長の逆鱗に触れ、会社ごと巻き上げられてしまう。


ついには、命まで狙われて、梶芽衣子がマイトガイの身代わりとなって射殺される。
激昂したマイトガイは、川地民夫と宍戸錠をつれて狭間組本部に殴りこみ
組員全員を、いつもどおり日本刀と短刀でむやみにふりまわし
惨殺するも、自らも宍戸錠とともに重傷を負って、完。


★感想
監督は、『俺にさわると危ないぜ』の長谷部安春。1968年公開。
脚本は、その後、『現代やくざ 人斬り与太 』を手掛ける石松愛弘。
よって、観るものを不快にさせる演出過剰が激しく、
その後の、日活低迷を予兆させる問題作である。



ただ、長谷部監督の演出は、ここでも斬新で、カット割は凝りまくっている。
一例として、物越しに、人物をとらえるカット割が異様に多い。


野心的な試みとしては、マイトガイをグループヒーローものに押し込めて、
渡り鳥シリーズのフォーマットを切り崩そうとしたことだろう。
この試みにおいて、この作品が近年の再評価が高まっていると、どっかで読んだ。


しかし結局、反目していたマイトガイと宍戸錠が徒党を組みラストになだれ込むことで
グループヒーローものとしては不完全になり、渡り鳥シリーズのラストと変わらない。
だもんで、再評価云々は、たぶん、感傷的な誇張である。



あえて極言すれば、『仁義なき戦い 代理戦争』で武田明として東映に移るまで、
マイトガイはグループヒーローとして納まることはなかったのである。そんな器じゃない。


ついでに『頂上作戦』で千葉眞一の代役となったことで宍戸錠は、永久に躓いた。
あのあたりで、マイトガイも宍戸錠も東映の軍門に降った感がある。


ただ、藤竜也が、遠野一家で客分として仁義を切り
「おひかえなすって、おひかえなすって」と禅問答のようなやりとりを


玄関先で繰り広げるシーンは、かなり見ごたえがあり、思わず息を飲んだ。


あと、日活やくざものを観ているうちに、私は郷エイ治と川地民夫のファンになった。

日活の郷エイ治、東映の渡瀬恒彦。私の番付ではそんな感じである。


しかし、郷エイ治は今なにをしているんだろうか、健在なのだろうか、気にかかる。



マイトガイが梶芽衣子と絡んだことで、その後の『日本最大の顔役』という
なかなかいい映画につながったことに、強いて言えば貢献している映画でもある。
しかし、太田雅子時代のうら若き梶芽衣子が無意味にポロリしていて、惨い。


出目徳こと高品格も、なかなかの存在感を醸しだしていた。

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タグ:小林旭
posted by 信州読書会 宮澤 at 14:16| Comment(0) | 邦画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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