信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

草野球の神様 ビートたけし 新潮文庫

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商店街の自営業者の弱小草野球チーム『所沢ブラボーズ』に
野球通のホームレスがコーチとして加わる。


彼によって「野村ノート」を地でいく野球理論を叩き込まれると、
弱小チームのメンバーは覚醒し、連戦連勝の快進撃をはじめる。


かくして、彼は“草野球の神様”と呼ばれるようになる。
はたして彼の正体は…。


★感想
草野球チームが強くなるという、少年野球漫画なみのプロットに
草野球のひねくれた必勝理論と過去の名選手にまつわる
興味深い逸話をまじえることで、大人の興味を引く読み物にしている。



・草野球の神様のコーチング
1. 勝敗にかかわらず、試合後は30分反省会をする。
2. 相手に野球をやる喜びを与えることで、油断させ、負けさせる。
3. 2ストライクまでボールを見る。流し打ちを心がける。
4. 打ったら全力疾走。
5. 捕球したら確実に投げられる場所まで走る。



この通りやって、さらに汚いトリックプレー駆使して、
チームは見違えるように強くなる。
その過程が生き生き描かれていて、読ませる。


野球をやる喜びにおぼれるのが一番危険だ、
勝つには野球をやる嬉しさを抑えなければならない。
という“草野球の神様”の説教があるのだが、
いかにもビートたけしが、好んで言いそうな逆説である。
カリスマの人生訓めいている。こういう逆説が好きな人にはたまらない。


「野球」を「お笑い」に変えても成り立つ意味深な逆説ではある。


作中、いたずらばかりするバカ一号、二号という、脇役が出てくるが、
これを読んだときに、カフカの『城』の測量技師Kの助手である
あるアルトゥールとイェレミアースにかなり似ていると思った。
そういう意味で、密かに実存主義的な趣向を凝らした作品だと思う。買いかぶりか。

草野球の神様 (新潮文庫)


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posted by 信州読書会 宮澤 at 14:04| Comment(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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