信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

嘘つき男・舞台は夢 コルネイユ 岩波文庫 その一


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★『嘘つき男』 あらすじ

法律を修めてパリへ戻ってきた貴族の息子ドラントは、
クラリスとリュクレースという貴族の令嬢を、
口説き落とすために、嘘をつきまくる。
ドラントは、すったもんだのあげくリュクレースと結ばれる。

★感想
コルネイユの喜劇。1644年制作。
貴族の息子ドラントとその召使クリトンの関係が、
モリエールの『ドン・ジュアン』の
ドン・ジュアンとスガナレルの関係にそっくりである。
どちらの召使も、主人の無軌道な行動に四六時中ハラハラさせられ通しである




とはいっても、コルネイユのほうが20年早いので、
モリエールがコルネイユに影響を受けたとも考えられる。
しかし、この作品をモリエールの性格喜劇の先駆として
位置付けるのは誤りである、と訳者解説では釘を刺している。ほお〜。



コルネイユは、高尚な悲劇作家が地なので、
主人公のドラントの嘘は、モリエールのドン・ジュアンの嘘よりも
想像力の質において、はるかに雄大でお品がよろしい。
要するに、古代悲劇のコロスの合唱のようなハッタリに満ちた嘘をつく。



ドラントは、水上での宴席や、秘密結婚の経緯、友人との決闘について
途方もない嘘を創作するが、どれも騎士道的な高尚さと貴族的な高貴さに溢れている。
コルネイユはイエズス会の敬虔なクリスチャンであったそうだ。


なので、『嘘つき男』は題名の通り、ドラントの嘘だらけだが、
モリエールのようなスケベなシーンは一切ない。


その代わり、男を値踏みするクラリスとリュクレースの
女同士の明け透け会話などに、俗っぽい面白みがあった。


プロットの論理的構造は、かなり緻密。
展開が強引な理に落ちていて、読んでいて頭が痛くなった。


デカい嘘をつくには、人間の器もデカくなくてはいけないという個人的な感慨はおぼえた。


嘘つき男・舞台は夢 (岩波文庫)


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ラベル:コルネイユ
posted by 信州読書会 宮澤 at 13:52| Comment(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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