信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

バンド・オブ・ザ・ナイト 中島らも 講談社文庫

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★あらすじ

印刷会社の営業をやめて、フリーのコピーライターになった
主人公のクスリとアルコール漬けの日々を綴った小説。





★感想
クスリで「大脳皮質がおかされ、モラルや愛情がなくなった」世界が描かれている。
前半、印刷会社の営業時代の話は、読み応えあり。



一応、プロットはある。


ただ、プロットがどん詰まりになったにところで、
ラリった脳内からあふれ出る詩的言語の自動筆記が、
津波のように小説を襲って、すべてのプロットが流される。


これが、10回くらい繰り返される。
ここぞ、というときの踏ん張りのない小説になっている。


『今夜、すべてのバーで』に出てきた内科医の赤河や天童寺さやかのような
主人公をモラルの側に連れ戻す人たちが、作品からきれいさっぱりいなくなっている。
結末に近づくにつれて、登場人物がどんどん惨めに死んでゆく。





解説は町田康。この解説が真摯で泣ける。
ついでに、作中、町田康のライブを観に行くシーンがある。



ユーモラスに描かれている。愉しそうだ。読みやすいし。
みんなで鍋を食べるシーンに惹かれる。雑炊を食べたくなる。



合わせて、平常心ではこういうことはできないだろうということが、
まるで、当たり前のように書かれている。そこが怖い。


オーヴァードーズで死んだパンクロッカーの評伝を読んだような
厳粛な気持ちにさせられる。読みながら何度か、天を仰いだ。
救いがたい孤独が、巧妙に隠蔽されている気がする。読後感は鉛のように重い。



バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)



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posted by 信州読書会 宮澤 at 13:43| Comment(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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