信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月15日

アンドロマケー エウリピデス ギリシア悲劇全集8所収 岩波書店


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★あらすじ
トロイ戦争で奴隷となってギリシアにやってきたアンドロマケーは、
ネオプトレモスとの間に息子のモロッソスをもうける。



一方、ネオプトレモスの正妻ヘルミオネーは子供ができない。
側室奴隷アンドロマケーに嫉妬する、正妻ヘルミオネーは、
父親のメネラーオスと謀ってアンドロマケーとモロッソスを殺そうとするが、
ネオプトレモスの祖父ペーレウスに邪魔されて失敗する。



結婚生活に疲れ果てたヘルミオネーは、自殺未遂を犯すが、
そこへ、従兄弟のオレステースがやってきて、
実は、ヘルミオネーと結婚したかったと愛を打ち明けられ、女として慰められる。



よって、ヘルミオネーとオレステースは、駆け落ちする。
一方、旅先でネオプトレモスは何ものかによって暗殺される。
(おそらく、オレステースに暗殺されたと思われる。)


孫のネオプトレモスの死を知らされたペーレウスは、逆縁を嘆く。


そこへ、ペーレウスの妻で、海の女神であるテティスが登場し、
ペーレウスを不死の神として、慰め、アンドロマケーとモロッソスを他国へ亡命させる。


★感想
個人的にアンドロマケーが、ギリシア悲劇で一番好みの女性。
夫と子供を殺され、祖国を焼かれ、奴隷となったアンドロマケーの
悲劇のヒロインっぷりには、惹きつけられるものがある。





機械仕掛けの神が、オチである。エウリピデスのいつものやりくち。
主人公のアンドロマケーが、後半ほとんど出てこない。


ラシーヌの『アンドロマック』のほうが主役として実力があった。
アンドロマケーという題名だが、ペーレウスが主人公のように思える。



ペーレウスとメネラーオスのジジイ同士の口喧嘩が強烈だった。
特にメラネーオスに対するペーレウスの毒舌が圧巻。


妻ヘレネーをパリスに寝取られたことを笑い、
イーピゲネイアの生贄を進言したことを責め、
トロイ戦争での武勲をインチキだと罵る。
立て板に水の罵倒芸。毒舌家のご隠居。


ペーレウスは高齢で、手もプルプルとふるえているのだが、昔の武勲を忘れていない。
啖呵を切りながら、卒倒寸前まで激昂するのである。命がけの口喧嘩。


そんなペーレウスが、最後に神になる。
お年寄りへの慈愛に満ちた悲劇である。

エウリピデスがさまざまな因果をめぐらせて苦しげに劇を作っている。
木に竹を接いだような印象。前半と後半の支離滅裂が痛々しい。


後半、オレステースが出てくるが、悪役である。
オレステースを悪役にしなければならないほど、苦しいのである。

エウリーピデース IV ギリシア悲劇全集(8)




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posted by 信州読書会 宮澤 at 13:39| Comment(0) | ギリシア古典 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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