信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

ヴォイツェック・ダントンの死・レンツ ビューヒナー作 岩波文庫


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★『ヴォイツェック』あらすじ
兵士ヴォイツェックが妻マリーの浮気を疑い、狂気に陥る。
妻をナイフで刺し殺す。



★感想
23歳で夭折したドイツの劇作家ビューヒナーの戯曲。
ドイツにはゲオルグ・ビューヒナー賞という文学賞があって
パウル・ツェランも受賞している。
授賞式でツェランがビューヒナーの『レンツ』について講演していた。
ほぼ、予備知識がなくて読んだが、実に面白かった。


細部は喜劇だが、全体的には悲劇である。
聖書の引用が背徳的で、ナンセンスである。
性的ないやらしさが瀰漫した戯曲で、気色悪い。



★「死臭」について
ヴォイツェックがマリーをナイフで刺殺した直後に
居酒屋によると、阿呆がヴォイツェックにむけて、こう言い放つ。



「すると巨人が言った。臭うぞ、臭うぞ
人間の肉の臭いがするぞ。ふう、もう臭くなってきたぞ」



悲劇作家の才能は「死臭」を表現できるかという問題に尽きる。
アイスキュロスもシェイクスピアも「死臭」を表現できる。
ラシーヌは、香水にまぎれた「死臭」が得意である。

だいたい、殺人場面を入れておいて死臭を表現できない作家が多い。
死臭を表現できないからだ。



坂口弘の『あさま山荘1972続』にリアルな死臭の描写がある。
人間を殺すと、殺した人間のからだに「死臭」がつく。
しかし、殺人者は興奮していて、「死臭」を自覚できない。


死臭は死体からでるのか、殺人者の興奮から発散されるのか、知らない。
科学的に解明しなくてもいい。解明されたものを読みたくもない。


ただ、『殺人者は死臭からのがれられない』という事実に圧倒される。



ヴォイツェク ダントンの死 レンツ (岩波文庫)

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posted by 信州読書会 宮澤 at 12:35| Comment(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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