信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

思い川・枯木のある風景・蔵の中 宇野浩二 講談社文芸文庫

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★『枯木のある風景』あらすじ
洋画家、古泉圭造の人生と画業を、その友人たちの視点をから描いた作品。



「芭蕉風の写実と空想の混合酒(カクテル)を試みよとおもうんや、」と作風の転換を語る古泉に
友人の島木新吉は深い感銘を覚え、風景を写生しながら古泉の絵画に想いをはせる。


また、合宿先で、古泉の作品に関する芸術談義をかわす、八田と入江は、
その作品に凄まじいまでの妖気を感じることで意見が一致する。



そのとき宿に、電報がきて、古泉が死んだことを知らされる。
古泉は肉体が衰弱するにつれ、不思議なことに才気・気力がますます冴えわたったのだった。
彼の絵は晩年になるにいたって、写実から象徴へ転換し
近年の傑作である『枯木のある風景』は、
野原に転がる枯木を裸婦の如くに象徴した作品だった。



古泉の死の床に向かう島木は、彼が普段見せる飄逸や皮肉が仮面であったことに思い至る。
なぜなら、彼の作品は、それらの仮面の雰囲気とは、全く無縁であったからである。
彼は、キャンバス上でしか、素の自分を曝け出せなかったのだ。私生活は仮面であった。


★感想
宇野浩二が、親交のあった洋画家、小出楢重をモデルに描いた短編。
実は、宇野浩二の諸作品で私が一番好きな作品である。
友情に満ちた作品であると共に、宇野浩二の芸術観が鋭く表現されている。


「生活」と「芸術」の調和を困難にする原因は、
宇野浩二においては、たった一つしかない。





「悪妻」である。





これほど「悪妻」との闘いを描いた作家も珍しい。



古泉の生活に仮面をつけさせたのが、
如才ない妻の存在だったと結論づけている。
悪妻に生活を迫害されてこそ、真の芸術家。



これが、宇野浩二が終生こだわった逆説である。
小出楢重の『枯木のある風景』を画集で眺めながら、読みたい作品。


思い川・枯木のある風景・蔵の中 (講談社文芸文庫)





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ラベル:宇野浩二
posted by 信州読書会 宮澤 at 12:32| Comment(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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