信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

狂人日記 ゴーゴリ 岩波文庫

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★あらすじ
役所勤務のやさぐれた九等官史ポプリーニチンは、
上司の課長も、通りすがりの人間も全部憎んでいる。



ある日、街角で長官の令嬢ソフィーを見かけて虜になり、
彼女のストーカーとなり、役所を欠勤し始める。
ソフィーの愛犬でメス犬のメッジィの会話を聞き取る。
(このあたりからしてもう主人公に電波がはいっている。)
メッジィが、フィデリというオス犬と文通していることを知り、
フィデリの後をつけて自宅を突き止める。


職務で長官の官邸を訪れた際に、犬のメッジィを脅迫してソフィーの
プライバシーを探るが犬が逃げて失敗する。


仕方ないのでフィデリの家に押しかけ、メッジィからきた手紙を強奪。
手紙の内容からソフィーに侍従武官チェブロフという男の影があることが発覚。



ショックを受け、自暴自棄になるが、新聞でスペインの王位不在の記事を読み
自分がその王位を継承すべき、スペインの新国王、フェルジナンド8世だと発見する。
(発見してしまうのである。かなしいことに!!)


長官官邸に押しかけ、ソフィーに面会し、末に必ず結婚すると告白し帰宅。
スペインからの使節が自宅アパートに迎えに来るのを待つ、がこない。


しかたないので、自分からスペインに出かけると30分で到着。
刑務所によく似たスペインの閣議室で丸刈りにされ総理大臣に棍棒で殴られる。
中国とスペインが同じく国であることなどを新たに発見するが、
そのかいむなしく、母親の助けを求めて叫びながら、終る。


★感想
主人公の日記という体裁を取った小説。ブログ小説のはしりでもある。
ブログ小説を書いている方にぜひ一読をお薦めしたい。
実生活を狂気によって虚構化し、なおかつ読めるものにするには
いかに高度な想像力が必要かということを教えてくれ、ためになる。


一応、主人公は日記に日付を入れているのだが、
自分がスペイン国王であると覚醒した日から、日付の入れ方がおかしくなる。


「2000年 4月43日」
「30月86日 昼と夜との境」
「何日でもない。日数には入らぬ日であった」
「日も思い出せない。月もやっぱりない。
 何がなんだかさっぱりわからない日のこと」


こういう楽しい日付から綴られる日記となり、
その内容も悲壮でユーモラスな幻聴、幻視、被害妄想が満載となる。
ドストエフスキーの『地下室の手記』等に影響を与えた作品。
ゴーゴリ生前には検閲を受けて、完全版としては死後47年たって漸く刊行された。


「夢に日付を 」ではなく「狂気に日付を」を地で行く小説。
某居酒屋チェーン社長の日記手帳の末尾近くに
「皇紀3754年元旦 天皇に即位」というでっかい夢の日付が入っているとか、いないとか。
恐るべき野望である。あくまでも都市伝説なので、信じないように。

狂人日記 他二篇 (岩波文庫 赤 605-1)


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ラベル:ゴーゴリ
posted by 信州読書会 宮澤 at 12:16| Comment(0) | ロシア文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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