信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

雨・赤毛 モーム 新潮文庫

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★『雨』あらすじ
クリスチャンの宣教師ディヴィドソンは、
南太平洋のエイピアの原住民への布教のため夫婦で船に乗っている。
彼は下世話で高慢。未開の原住民に罪の意識を植えつけ
犯した罪に対して罰金制を課して折伏するという


ラディカルな手法を採用する狂信的な神父である。


船で疫病の乗客が出て、雨季の豪雨の中、パゴパゴの宿で二週間の足止めを食らう。
同宿の宿にミス・トムソンという売春婦がおり、


彼女は毎晩、船員を連れこんで乱痴気騒ぎをするので、
ディヴィドソンは咎めるが、彼女に侮辱される。


怒り狂った彼は、総督に告発し、ミス・トムソンを次の船でサンフランシスコに
送り返すように圧力をかける。同時に彼女が悔い改めるように祈りを捧げつづける。


彼女は、懲役刑を逃れるためにここまで来たので勘弁してくれと泣きを入れる。
弱った彼女につけこんで宣教師は悔い改めるように説教し、
彼女の部屋で教化に乗り出しミス・トムソンが帰国する当日の晩まで続く。


自己犠牲で彼女と苦悩を分かち合い、その効果は次第に彼女に現われる。
彼女の帰国日の朝、ディヴィドソンの死体が発見される。
宣教師は彼女への劣情に負けて、昨晩ことに及んだらしい。自殺である。
着飾ったミス・トムソンが、男は豚だ!と叫んで終わる。


★感想
『だれでも、情欲をいだいて女を見るものは、心の中ですでに姦淫したのである。』
とあるマタイ福音書第5章の一節を地でいく教訓的な短編。
世界短編小説史上の傑作だそうだ。
医師マクフェイルの狂言まわしがあって成立する短編である。
宣教師の告白で書かれたなら、やりきれない背徳的な駄作である。


最近モームの『世界の十大小説 (上) 』を買って『高慢と偏見』の章だけ読んだ。
ジェーン&エリザベスと下の三人姉妹を異母姉妹にすれば
構成上スッキリするという内容のことを書いていて、
得意げに、なにいってやがるんだこの野郎!! と思ったが、
それ以外はなかなか読み応えがあった。

というわけで、モームは、なかなかシニカルで技巧的な作家で、
そういう意味ではこの短編は彼の本領が発揮されている。
キリスト教の上っ面をなぞった手だれた作品である。


雨・赤毛 (新潮文庫―モーム短篇集)


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タグ:モーム
posted by 信州読書会 宮澤 at 12:08| Comment(0) | イギリス文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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