信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

出口なし サルトル 新潮世界文学47所収


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新潮世界文学 47 サルトル



★あらすじ
あの世で一室に閉じ込められた
死者ガルサン、イネス、エステル。
ガルサンは徴兵忌避の罪で銃殺され、
イネスは同性愛の相手とガス心中し
エステルは嬰児殺しを犯し、肺炎で死んだのだった。


わけありの過去を語り合いながらも、理解し合えない彼らは、
死ぬこともできず、出口のない密室でお互いを苦しめあう。


★感想
『他者は地獄である』という哲学的主題を戯曲化した作品。
三人の死者は第二帝政風のサロンに閉じ込められるが、
そこには鏡がなく、自分の姿は他者を通じてしか理解できない。
信用しえない人間が密室に三人いれば確かに地獄である。


舞台美術的に安上がりの戯曲。一幕物。1944年初演。
移動劇団のために書かれたので、どこでも上演できる。


私見だが、サルトルがガルサンを描くために書いた戯曲だと思う。
ガルサンは、対独協力者をモデルとしていると思う。


ガルサンは徴兵忌避者で、銃殺されたが、
死後もなお、軍隊から逃げたことを友人たちから
卑怯者呼ばわりされるのを怖れて、苦悩しているの人物である。


「たったひとつの行為によって人の一生を裁くことができるだろうか」
とガルサンは叫ぶが、対独協力者の自己弁護である。


死後も卑怯者の汚名をそそぐことのできない、
対独協力者の苦悩を描いた戯曲ではなかろうか。


対独協力者に鞭打つ作品。
死者にまで鞭打つサルトルのサディスティックな快楽にふれることができる。

新潮世界文学 47 サルトル


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タグ:サルトル
posted by 信州読書会 宮澤 at 12:06| Comment(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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