信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

タルチュフ モリエール 岩波文庫




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★あらすじ
自称零落貴族で狂信的な聖職者をよそおうペテン師タルチュフは
金満家のオルゴンとその母、ペルネル夫人に取り入り、彼らの歓心を買い
すでに許婚のいるオルゴンの娘マリアーヌと強引に結婚までこぎつける。


家族みんながタルチュフの卑しき人品を論難するにもかかわらず、
オルゴンとペルネル夫人は、タルチュフを信用し、批判に耳を貸さない。


オルゴンの妻エルミールは、彼女に懸想するタルチュフを騙して一芝居うち、
彼女に不貞をそそのかさせるタルチュフの間男ぶりを、オルゴンに見せつける。


ようやく騙されていたことに気がついたオルゴンは、あとの祭り。
すでにタルチュフに財産贈与を書面で確約していたのであった。


怒りをもってオルゴン家を追い出されたタルチュフは、執達使を送り
財産権を主張し、さらにはオルゴンから盗んだ政治犯との密通の手紙を
国王に届けて告発し、オルゴンを抹殺しようとする。


しかし、寛大な国王がタルチュフの詐欺を見破り、タルチュフはお縄にかかる。


★感想


父親がカルト宗教にはまった一家の悲喜劇。
五幕物の喜劇なのだが、初演はタルチュフがオレゴンと意気投合する
第三幕までの上演しか許されなかったとされている。


訳者解説によるとタルチュフの狂信者ぶりは、当時のフランスを風靡した
「聖体秘蹟教会」をモデルとしており、タルチュフの造形はそこへのあてこすりだったそうだ。


時の国王ルイ14世はタルチュフ的な偽善者の集まりである
「聖体秘蹟教会」を苦々しく思っていたが、
政治的な反撃を恐れて当り障りのない第三幕までの上演を許可した。


初演から五年目にようやく五幕を完全に続演する許可をえられたが、
そのときすでに「聖体秘蹟教会」の求心力は低下していたそうである。


第五幕において「機械仕掛けの神」としての国王の力によって
紛糾した事態は1ページほどで急激に収束し、円満解決する。
呆気にとられる。水戸黄門の世界である。


国王へのヨイショがひどい。



以上内容的には喜劇作家モリエールの苦しい渡世を感じさせる。


そういう意味で権力によって抑圧を受けたにもかかわらず
好評裡に迎えられ、モリエールの出世作ともなった幸運な作品。


タルチュフは典型的な詐欺師として
カルト宗教やマルチ商法に考える上で、後世に語り継がれるべき人物である。



タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2)


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ラベル:モリエール
posted by 信州読書会 宮澤 at 12:05| Comment(0) | 戯曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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