信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月13日

文庫をめぐる感想



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純文学とノンフィクションの品揃えに関して個人的な感想をまとめました。


★中公文庫
昔は文芸路線で燦然と輝いていた。
金子光晴やセリーヌ、深沢七郎、後藤明生、折口信夫全集など、
純文学の読書家をして唸らせるラインナップを揃えていた。
政治家の回顧録なども充実している。
いまだに、古書店でみたことのない中公文庫を発見すると心ときめく。
読売の傘下になってもはや期待できなくなった。
最近文庫を復刊させて1000円以上の値段をつける。どうかと思う。



★岩波文庫
昭和十年代に川端康成が、「純文学の敵は岩波文庫だ」と喝破。
知を特権階級から大衆化させた点で、大いに貢献している。
新刊にも一括重版にも未だに心ときめく。ソレルの『暴力論』をはやく復刊して欲しい。
注釈に気合が入っていて、学術的なのがうれしい。


買取の岩波文庫が色褪せても、なお店頭に並ばせている
個人経営の書店に書店の最低限の矜持を感じる。
そういう書店にエールを送りたいが、店主の性格が悪く次々閉店している。


★文春文庫
『文藝春秋』から文庫をひねり出す。
政治や戦史もののノンフィクションが充実している。
敢えて文芸路線をとらないところに商売気を感じる。高齢者にファンが多い。
海外ミステリーなどを映画に絡めて売り出すのがうまい。でも売れてないけど。


★新潮文庫
漱石、谷崎、太宰、三島、大江をいまだに棚にきちんと並べているが、
海外文庫の絶版率はひどすぎる。かつて『新潮文庫の復刊』と称して
モンテルランの『闘牛士』やロレンスの『息子と恋人』、A・モロア『英国史』
フォークナーの『野生の棕櫚』、バルザックの『暗黒事件』など地味な装丁で一括重版した。
もう一度200冊くらい一括重版を行って老舗の意地を見せ付けて欲しい。


★河出書房文庫
戦後の前衛文学に強い。澁澤や寺山などはお世話になった。
いまさら河出文庫の出版する前衛文学に何の意味があるのか不思議に思う。
年々河出文庫から心が離れていく。装丁を気まぐれに変えすぎる。若者に媚びている。


★講談社文芸文庫
ここで絶版になったらもはや文庫としての命脈はない。最後の砦。
花田清輝や中野重治、埴谷雄高、武田泰淳など戦後文学が読めるので重宝。
大体が中公文庫や中公の文学全集の絶版ものから流出したラインナップ。
作家の年表や作品一覧がついているのでありがたい。高いけど我慢したい。
海外小説の良書が充実している。もっともっと気合を入れて新訳で出して欲しい。



★ちくま文庫
メジャーからマイナーなものを取り扱っている。無作為といえるラインナップ
金子光晴や吉行、阿佐田&色川のコレクションを出している一方で
シュティフターやホフマンなど新刊でも出している。
かつて小学館や集英社の文学全集や文庫に収められていたような
文学的遺産から文庫化を目論む点で一抹のさもしさを漂わせている。全体的に貧乏臭い。


★角川文庫
角川文庫クラシックスよかったな。偏っていたけれど。
昔の角川文庫もモラヴィアの小説や第三の新人のエッセーを揃えていた。


★福武文庫
創業者は文芸に対する思いを福武文庫にたくしたが、
その思いは、「しまじろう」のビルドゥングスロマンに敗北した。現在ベネッセ。
ブックオフで福武文庫を漁る人は、清水國明以上にブックオフを愛していると思う。



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posted by 信州読書会 宮澤 at 12:01| Comment(0) | 余談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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