信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月11日

プールサイド小景・静物 庄野潤三 新潮文庫


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★『プールサイド小景』 あらすじ
会社の金を使い込んでクビになった青木は、毎日家にいる。
夕方学校のプールで泳ぐふたりの息子の様子を見に行く。
そんな夫を見て、結婚して初めて、夫の存在がなんだったのか自問自答する妻。


夫婦の間にいつしか空白の長い時間が過ぎ去っていたことに愕然とする。
近所の目もあるので、夫はやがて背広を着て、
朝、とりあえず外出するようになる。あてどもなく。


★感想
昭和29年の作品。芥川賞受賞作。
ちょっぴり怪奇小説に近いテイストがある。



最後の場面は意味深。
凡作家なら、青木の水死体をプールに浮かばせてしまうところだ。



サラリーマンのエンドレスな日常に垣間見える闇の深さや
戦後の平和が隠蔽する人間の本来性を崩壊を予兆として露呈させている。


人間存在そのものに対する問いが投げかけられているのが、実存主義のテーマに近い。
だが、アンガージュマンに結びつかず、詩的な喚起を促すだけで、踏みとどまっている。


思想と文芸は別個という日本の伝統を守った芥川賞の手本。腹八分目で品がよい。


純文学の規定路線を教えてくれる「ものさし」のような作品。

プールサイド小景・静物 (新潮文庫)



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posted by 信州読書会 宮澤 at 11:53| Comment(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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