信州読書会 書評と備忘録

世界文学・純文学・ノンフィクションの書評と映画の感想です。長野市では毎週土曜日に読書会を行っています。 スカイプで読書会を行っています。詳しくはこちら → 『信州読書会』 
Facebookページ
『信州読書会』 
YouTubeチャンネル
YouTubeチャンネル「信州読書会」
*メールアドレス
名前

 

2013年06月11日

ヒッポリュトス エウリーピデース 岩波文庫



sponsored link





ヒッポリュトス―パイドラーの恋 (1959年) (岩波文庫)

エウリーピデース, 松平 千秋訳 ヒッポリュトス―パイドラーの恋


★あらすじ
トロイゼーンの王宮の前の広場にはふたつの祭壇があった。
ひとつにはアプロディーテ、もうひとつにはアルテミスが奉られていた。


アテーナイの王、テーセウスの前妻の息子ヒッポリュトスは
女神アルテミスをえこひいきしてお参りしたために、女神アプロディーテの恨みを買う。
アルテミスに嫉妬したアプロディーテは
ヒッポリュトスの継母パイドラーが彼を愛するように洗脳する。


パイドラーは義理の息子への不義の愛に苦しみ自殺する。


パイドラーは冷酷で異常なまでに潔癖なヒッポリュトスを憎悪し、
腹いせに夫のテーセウスに息子と不義の関係を結んだという偽りの遺書を残す。


それを読んだテーセウスは激怒して呪いをかけて息子を追放する。
故国を追われたヒッポリュトスは、海岸で巨大な牡牛に襲われ、
落馬して瀕死の重傷を負い、危篤の状態でトロイゼーンへ運ばれる。
テーセウスはそれを見ていい気味だと悦に入るが、
そこへ女神アルテミスが現われて、パイドラーの遺書が嘘だったことを彼に告げる。
父の疑惑がようやく晴れたヒッポリュトスは、そのかいもなく絶命する。



★感想
安易な手だれとして名高いエウリピデスが、またもや「機械仕掛けの神」で落ちをつけた。
訳者の松平千秋氏ならずとも、エウリピデスによる「機械仕掛けの神」の乱用は諌めたくなるところである。



しかし、なぜ私がかくもエウリピデスに偉そうに拳を上げるのかよくわからなくなってきた。
よく考えると分不相応である。お前は何様のつもりかという自省がないでもない。
生理的に嫌いなんだと思う。でも今後も、折をみて彼の悲劇を紐解きたいとは思う。不思議なことだ。


ラシーヌが『ヒッポリュトス』を翻案して『フェードル 』という悲劇を物している。
両作品の比較については三島由紀夫による委細尽くしたすばらしい一文があるので
ご興味のある方は三島由紀夫の『小説家の休暇 』をご覧いただきたい。
三島の小説が苦手な人にも彼のたぐいまれな見巧者っぷりは舌を巻くと思う。


なお、三島由紀夫は『フェードル』を最も感動した戯曲として揚言している。
あまりの愛着から『フェードル』を歌舞伎の台本に翻案して
『芙蓉露大内実記』を創作したそうである。あらためて三島の非凡さを感じさせる逸話である。
なんかぎこちない悲劇でいまいち腑に落ちないが、筋は面白い作品。それだけ。


ヒッポリュトス―パイドラーの恋 (1959年) (岩波文庫)


sponsored link




ラベル:エウリピデス
posted by 信州読書会 宮澤 at 11:48| Comment(0) | ギリシア古典 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。