信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月11日

クリスマス・カロル ディケンズ 新潮文庫


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★あらすじ

スクルージ・マアレイ商会の経営者スクルージ
金しか信じない強欲で冷酷で人間嫌いな老人である。
クリスマスが近づき、救貧院の院長が寄付を請いに来る。
スクルージは、税金を払っているという理由で寄付を拒み、
貧乏人がクリスマスを祝うなといって追っ払う。
そのくらい、クリスマスの幸せを嫌悪している。


商会の共同出資者マアレイは七年前に死んでいるが、
彼はある晩スクルージの枕もとに立ち、三人の幽霊の訪問予定を告げる。


第一の幽霊はスクルージに次々と彼の過去の人生の場面ををみせる。
クリスマスの晩に蝋燭ひとつで読書するスクルージ少年。
そして奉公時代に雇い主のフェズウィック老人が催したX’mas ダンスパーティー。
彼は、ダンスパーティーを思う存分愉しんでいる奉公人の自分を見つける。
若かった時分の情景に見入り、スクルージは感傷から泣き続ける。


第二の幽霊は、彼取り巻くクリスマス当日の情景を見せる。
雇っている書記のボブの家庭で繰り広げられる貧しいが幸せなクリスマス。
甥の家庭のクリスマス。抗夫や灯台守や漁師のクリスマス。
すべての人々が喜び幸せになる姿を見て感動する。


第三の幽霊は、彼の将来を見せる。
彼の葬式、遺品が質屋で処分様子、彼が死んだことを喜ぶ人々。
彼は誰から愛されず孤独に死んだ自分の遺体を目の当たりにして恐怖する。


三人の幽霊がいなくなるとクリスマス当日であり、
改心した彼は、救貧院に寄付し、使用人の給料を上げ
周囲の人々に幸せを与えながらクリスマスを初めて主体的に謳歌する、



★感想
第一の幽霊、第二の幽霊が出てくる前半は涙なしには読めません。


ディケンズはカットバックの手法を大胆に取り入れています。


映画でいえば、個人的には『ニュー・シネマ・パラダイス』の結末部分や
『ゴダール映画史』でゴダールが、生前絶交していたトリュフォーの肖像と
マルローの肖像を並べて追悼したシーンと同じくらいのインパクトでした。



フェズウィク老夫妻が踊るシーン。スクルージが店のレジの下で寝るシーン。
持参金がない婚約者とスクルージが別れ、
実は彼女が現在救貧院院長の奥さんになっているのに気づくシーン。
足の不自由な息子ティムをかかえるボブ一家の食事のシーン。どれも感動的。



過去、現在、未来が渾然一体となり襲いかかり
人生のあらゆるクリスマスを体験してしまうスクルージ。
スクルージの永劫回帰に、私たちは立ち会うことができます。


クリスマスに生まれ変わる人間のささやかな歌。クリスマス・カロル。号泣必至。


クリスマス・キャロル (新潮文庫)


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タグ:ディケンズ
posted by 信州読書会 宮澤 at 11:43| Comment(0) | イギリス文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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