信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月11日

ヒケティデス アイスキュロス ギリシア悲劇全集2 岩波書店


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★あらすじ
『ヒケティデス』とは『嘆願する女たち』という意味である。


『縛られたプロメーテウス』に端役で登場した牝牛のイーオーの末裔
ダナオスが、兄弟アイギュプトスとのすったもんだの挙句、
娘50人を従えて、船でエジプトにある故国を飛び出す。


祖先イーオーが住んでいたアルゴスに亡命するため、強引に押しかける。



アルゴスの王、ペラスゴスは、押しかけてきたダナオスと50人の娘たちの処遇に困る。
受け入れてしまうと、追っ手を差し向けるアイギュプトスの治めるエジプトと戦争になる。
断ると、嘆願者の守り神ゼウスの怒りに触れ何されるかわからない。


その上、厄介なことに、亡命を受け入れられなかったら集団自殺するとダナオスの娘らは訴える。
困ったので、アルゴス市民に亡命者の処遇を諮ると
全会一致で受け入れが支持される。



アイギュプトスの伝令使がやってきて娘たちを力ずくで連れ去ろうとする。
それを、ペラスゴスが断固たる態度で追っ払って戦争勃発の危機を迎えながらも
万事ゼウス頼みのダイオスの娘たちによる能天気な喜びの歌で終劇。



★感想
アイスキュロスの『ダイナデス』三部作で唯一残っている作品。
ダイオスの娘たちがコロスを形成し合唱しまくり、嘆願しまくる。


解説によるとその後、アイギュプトス率いるエジプトとアルゴスは戦争になり、
ペラスゴスは敢え無く戦死。ダイオスがアルゴス王となり和睦。
ダイオスの娘50人とアイギュプトスの息子50人が集団結婚するが
ダイオスの計画により初夜の褥で50人の嫁によって50人の婿への暗殺を決行される。
なぜか、50組のうち1組だけ夫婦が成立する。


身勝手な親戚に集団で押しかけられたアルゴス王ペラスゴスの悲劇と読んだ。迷惑な話だ。
彼の死後、ちゃっかりアルゴスの王座に収まるダイオスは、どうしようもない。


嘆願、陳情する側の意図せざるバイオレンスをそこはかとなく教えてくれる作品。
集団自殺をほのめかしながらの嘆願は強烈なインパクトである。



アイスキュロスの悲歌は、あいかわらず絶唱の響きがあって
嘆願する女たちを恍惚の境まで導いてしまうので悪質といえる。


アイスキュロス II ギリシア悲劇全集(2)


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posted by 信州読書会 宮澤 at 11:39| Comment(0) | ギリシア古典 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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