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ピエール・クロソウスキー, 若林 真訳 ロベルトは今夜
★『ロベルトは今夜』あらすじ
ロベルトのスカートに暖炉の火が付いて燃える。彼女の足があらわになる。
それが機縁となってオクターヴは貞淑で不可解な妻ロベルトの本質を実現するため
目の前で彼女を第三者に陵辱させる。なんのこっちゃ。あらすじもまとまんないや。
★感想
主客の弁証法的止揚という問題が、神学的に扱われながら、ポルノ小説になっている。
昨日紹介した『ムッシュー・テスト』の
テスト氏が、彼の妻のエミリーに同じ事をすれば
『ロベルトは今夜』と同じような作品が出来上がる。
いちいち読解するととめどもなく長い話になり徒労感に襲われるので止める。
この作品を説明するためにこちらから気をまわして、
やれ、カトリックだ、サドだ、意味の論理学だ、フーコーだ、遠藤周作だ、などと
並べ立てて、誰かのもっともらしい解釈を援用しなければ、
理解できない作品だとしたら不親切だと思う。
たいした作品じゃないんじゃないかと疑ってかかるべきじゃなかろうか?
戯曲風の体裁となっているがプロットがないので展開に乏しい。未熟な構成。
エピグラフにコルネイユの『メデ』が掲げられているが、コルネイユに失礼だと思う。
混乱した哲学的観念をそのまま曝したシュールレアリステックな作品。
それを楽しめるかが別れ目。私は生理的に受付けなかった。バタイユも同様。
個人的には小説家としてはクロソウスキーより正宗白鳥のほうが数倍興味深い。
文庫になったので読んでみただけである。
ロベルトは今夜 (河出文庫)
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ラベル:クロソウスキー