信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月10日

レーニン レフ・トロツキー著 光文社古典新訳文庫

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レーニンを最も敬愛したトロツキーが
彼の死後に思い出を綴った1925年の著作


まず、私は、ロシアの革命についてはほとんど断片的な知識しかもっていない。
一番興味を持ったのは、ロシア・アバンギャルドだったので
革命時代に活躍したマヤコフスキーやマレーヴィチについては
評伝や論文をいくつか読んだが、結局未来主義には刹那的な興味しか持てなかった。


マヤコフスキーについて調べたときにトロツキーの『文学と革命』を読み始め
鋭い分析に刺激を受けたものの、文学は、最終的には政治に従属する物という


彼の論文について行けず放棄した。
特に、マヤコフスキーに対する彼のやけに冷静な態度は私を白けさせた。



以前、ロシアパブによく飲みに行っていた時期があったが、
(周期的に入管法が厳しくなり、現在はロシア人が歓楽街から姿が消している。)
ロシアの女性と話して(ほとんど日本語だが)驚くのは、
彼女たちの1/3くらいが貧乏な学生で、
なかなかインテリであり、学資を稼ぐために来日していたことだ。


ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ 』を愛読したり、
エセーニンの詩句をそらんじたりする才媛が結構たくさんいた。
ちなみにマヤコフスキーは、ロシアの教科書に載っているので
彼女たちはみんな知っているが、ソビエト時代の象徴的存在でほとんど人気がない。


そんなわけで、話がかなりそれたが、トロツキーが本当に愛していたのは
文学者ではなく、レーニンただひとりであるいうことが、よくわかる本なのである。
トロツキーは、もともとメンシェビキなのだが、
ロンドン亡命時代のレーニンを訪れ、感化されて側近になった人物である。


帰国後、『歴史は塹壕から作られる』として兵士の蜂起を訴え、
国内の革命を優先し、交戦中のドイツと平和条約を結ぶなど
危うい綱渡りで新しい国家を築き上げたレーニンをトロツキーは間近で目撃してきたのである。


ソビエトの法令をひとりで作り上げ、時間と戦いながら一つの国家を築き上げ、
自分の信じていることを超人的な能力を実現してゆくレーニンを
ただただ、驚嘆のまなざしでみつめるトロツキーが本書には存在する。


レーニンの創造性は、ロシア・アバンギャルドの創造性を凌駕していることがわかる。
だからこそ、トロツキーもスターリンも文学を政治の従属物とみなしたのだ。


1917年10月の最も魅力的なレーニンに出逢える本。お薦め。

レーニン (光文社古典新訳文庫)


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ラベル:レーニン 
posted by 信州読書会 宮澤 at 13:33| Comment(0) | 評伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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