信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月10日

テニスボーイの憂鬱 村上龍 幻冬社文庫


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住宅開発で土地成金となり、それを元手にステーキ屋をはじめ
さらに成功を収め金持ちになった青年のテニスと不倫を巡る物語。


ヘミングウェイの作品のように会話が多く、
簡潔な文章で、ところどころにユーモアがあって読みやすい。
とくにサイパンを舞台とした場面は、なにげないがしっかりしている。



主人公の不倫の相手となる吉野愛子と本井可奈子が
ふたりとも長野県出身という設定なのだが、田舎成金の不倫の相手は、
長野県に求められるべきだという皮肉なのだろうか? 複雑な気分だ。



携帯電話の普及がいかに恋愛に
不可逆的な変化をもたらしたということがこの小説からわかる。


主人公は妻子もちなので公衆電話からしか連絡が取れない。
それが遠因となって最初の不倫相手の吉野愛子と別れるのだが、
携帯電話が普及した現在からみると、この小説の設定が古びた感じは否めない。


自分が楽しくキラキラと輝いて生きられればいいと思う一方で
人から嫌われたくないので、周囲にそれなりに気を遣ってしまう
主人公のバランス感覚は、テニスに捧げる敬虔な信仰にも似た情熱に支えられており
それが、興奮と快楽に溢れるこの小説を案外、清潔なものにしているといえる。



なぜか腑に落ちる小説。金満家の主人公を憎めなかった。
憎むどころかなぜか、結構好きになるから不思議だ。

テニスボーイの憂鬱 (幻冬舎文庫)





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ラベル:村上龍
posted by 信州読書会 宮澤 at 13:17| Comment(0) | 日本文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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