信州読書会 書評と備忘録

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2013年06月10日

死の家の記録 ドストエフスキー 新潮文庫 その一

★あらすじ
妻を殺し、シベリアの刑務所に10年間服役した貴族地主
アレクサンドル・ペトローヴィッチ・ゴリャンチコフの手記。
おぞましい刑務所生活の全貌と、囚人の内面生活が描かれている。

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★感想
見沢知廉氏の『囚人狂時代』を読んでから、
やっぱり作家が成長するには「刑務所と結核と戦争」の
どれかが必修科目だなと思っていました。


『死の家の記録』はぺトラシェフスキー事件で逮捕され、シベリア流刑に処された
ドストエフスキーの四年間の獄中体験をもとに描かれた小説です。


面白いの一言。その後の長編小説のネタがほとんど出ている小説です。



獄中生活からドストエフスキーが得た教訓が描かれています。
私がすごいなと注目したのは以下の教訓です。やや牽強付会に10個にまとめました。



1 罵詈雑言・悪口の科学が発達。気の利いた悪口を言う囚人が尊敬される。
2 獄舎に友情はない。
3 罰の中で最も苦しいのは、強制された共同生活である。
4 高位高官についての話題は、獄舎内で最も重要な話題となる。
5 獄舎で唯一の自由意志は、金を遣うことである。
6 冤罪はなくならない。確率論に基づいて必ず起こる。
7 自分の犯した罪は淡々と語ること。できれば語らないほうが望ましい。
8 密告者はいるが、発覚しても恨まれることはない。
9 自ら犯した罪への悔恨・呵責はない。
10 笑顔が気持ちいい人間に悪い人間はいない。


普通の生活からはちょっと想像できないものもある教訓なのですが、
まあ、人間としての最低限の権利しか保障されていない
獄中生活の中で得た教訓なので、単に奇をてらった逆説ではないと思います。


これは、ウェブ生活にも当てはまる気がしました。


特に1〜6を、ウェブ生活での教訓に書き換えてみました。


1 ウェブでは罵詈雑言・悪口の科学が発達。気の利いた悪口を書き込むものが尊敬される。
2 ウェブに友情はない。
3 ウェブの中で最も苦しいのは、強制された書き込みである。
4  高位高官についての話題は、ウェブで最も重要な話題となる。
5 ウェブで唯一の自由意志は、クレジットを遣うことである。
6  ウェブの荒らしはなくならない。確率論に基づいて必ず起こる。



書き換えてみて、ある真実を感じてヒヤリとしました。
獄中生活もウェブ生活も、ある種の非人格化を強いられる点で似てくるのですな。



『ウェブに友情はない。』


『ウェブで唯一の自由意志は、クレジットを遣うことである。』


このふたつは、逆説に満ちた名言で、ちょっとお気に入り。


『ウェブ進化論』より『死の家の記録』の方が
『Web2.0』を的確に説明してくれるような気が・・・。



気になった名場面については、また改めて書きたいと思います。

死の家の記録 (新潮文庫)



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posted by 信州読書会 宮澤 at 13:09| Comment(0) | ロシア文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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